| 観音霊場のはじまりは |
最も古い観音霊場は西国三十三観音霊場で、現在の八番札所になっている長谷寺の開祖・道明上人の弟子、徳道上人がある日、閻魔大王があらわれて観音霊場を作るようにいわれ、養老2年(718年)に成立したと言われています。
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| 各地にある霊場は |
新潟に限らず全国に霊場巡りは沢山ありますが、全て「西国三十三ヶ所霊場」と「四国八十八ヶ所霊場」の写し霊場となっています。写し霊場とは四国遍路あるいは西国巡礼に出たくても出ることが出来ない人のために作られた地方の霊場のことです。地方の霊場を巡ることによって四国遍路や西国巡礼を巡ったのと同じ御利益があるとされています。
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| なぜ今巡礼? |
僕自身はきちんと宗教に関して勉強してもいませんし、宗教に対してしっかりとした考えを持っているわけでもありません。ひょんな事から「越後三十三ヶ所観音霊場」を知り、友人の病気をきっかけに一緒に回り始めました。白装束などという格好をするわけでもなく、車で気ままに巡ったわけです。とあるお寺では「若いのにねぇ」と感心がられ、別のお寺では「心がけが悪い」と説教され、なかなか困難な旅でありました。それもそのはずで、信仰心と言うよりもスタンプラリー色が強い巡礼の旅でしたから。33ヶ所は僕等にとってみれば単なるチェックポイントにすぎなかったかもしれない。
しかし、観音堂を巡っているうちに「こういう事でもしない限り知ることが出来ない街並みや自然」に触れる楽しみを知り今では本当に良かったと実感しています。出来上がった納経軸を眺めるたびに、札所を回ったあの時間が懐かしく思い出されることでしょう。
小川義昭氏が本の中でこう書いています。
| 巡礼はもっとおもしろいものであってもよいのではないか。四国遍路はそもそも他界巡礼だったそうだが、言葉を変えれば、リフレッシュすると言うことだ。日常の世界から札所霊場という非日常の聖域に入り、また日常に戻ってくる旅、これは自己の活性化に他ならない。(「越後二十一ヶ所霊場 弘法大師・心の旅路」新潟日報発行より) |
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確かにそんな気もします。でももう少し楽な気持で観光ガイドには紹介されない越後新潟の自然に触れる旅と位置づけてみても良いのではないでしょうか。それだけではなく、すべて巡り終えて出来上がる「納経軸」の素晴らしさに、実は感動し、それを完成させる事が一番の目的であったのかもしれません。
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| 観音像の種類(六観音・七観音) |
札所になっているお寺や観音堂にはいろいろなタイプの観音様が祀られています。どのような観音様がおられるのでしょうか、基本的な観音様をあげてみます。一番基本となるのが聖観世音菩薩(正観世音菩薩)です。聖観音以外は変化観音と呼ばれています。代表的なのが以下の観音様です。
| 聖観世音菩薩(正観世音) |
一番基本となる観音像 |
真言 : オン アロリキャ ソワカ |
| 十一面観世音菩薩 |
頭上に十一面(又は十面)の顔がある |
真言 : オン ロケイジバラ キリク ソワカ |
| 千手観世音菩薩 |
千本の手を持つ(実際は25本) |
真言 : オン バサラ ダルマ キリク |
| 如意輪観世音菩薩 |
右膝を立て、右手を頬にあてている |
真言 : オン バラダ ハンドメイ ウン
真言 : オン ハンドマ シンダ マニ ジンバ ラ ソワカ |
| 馬頭観世音菩薩 |
頭上に馬の頭を持ち、怒りの形相をしている |
真言 : オン アミリト ドハンバ ウン ハッタ |
| 准胝観世音 |
真言宗の六観音のひとつ |
真言 : オン シャレイ シャレイ ソンデイ ソワカ |
| 不空羂索観世音 |
天台宗の六観音のひとつ |
真言 : オン アボキャ ビジャシャ ウン ハッタ |
記載した代表的な観音様は六観音(又は七観音)と呼ばれています。六観音は六道思想からきているようです。六道とは 「地獄」 「餓鬼」 「畜生」 「修羅」 「人間」 「天上」 の六つ。真言宗では六観音に准胝観音が、天台宗には不空羂索観音に置き換わるのですが、真言宗の准胝観音と天台宗の不空羂索観音を含めて七観音と呼ばれています。
霊場の三十三という数字は法華経普門品(観音経)にある、観音が三十三の化身になって、救済するという説からきているようです。観音三十三種を列挙しておきます。
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三十三の応現身(写真は角田山稲島登山道の薬師堂にて撮影)
| 楊柳観音(ようりゅう) |
龍頭観音(りゅうず) |
持経観音(じきょう) |
| 円光観音(えんこう) |
遊戯観音(ゆげ) |
白衣観音(びゃくえ) |
| 蓮臥観音(れんが) |
滝見観音(たきみ) |
施薬観音(せやく) |
| 魚藍観音(ぎょらん) |
徳王観音(とくおう) |
水月観音(すいげつ) |
| 一葉観音(いちよう) |
青頸観音(しょうぎょう) |
威徳観音(いとく) |
| 延命観音(えんめい) |
衆宝観音(しゅほう) |
岩戸観音(いわと) |
| 能静観音(のうじょう) |
阿耨観音(あのく) |
阿摩堤観音(あまだい) |
| 葉衣観音(ようえ) |
瑠璃観音(るり) |
多羅観音(たら) |
| 蛤蜊観音(こうり) |
六時観音(ろくじ) |
普悲観音(ふひ) |
| 馬郎婦観音(めろうふ) |
合掌観音(がっしょう) |
一如観音(いちにょ) |
| 不二観音(ふに) |
持蓮観音(じれん) |
灑水観音(しゃすい) |
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